機械的駆動部のないLidarを開発、人の眼のように重みづけスキャンが可能

【事業概要】：
株式会社SteraVisionは、産総研技術移転ベンチャー企業です。新原理を使って機械的駆動部のないLidar（Light Detection and Ranging）装置を開発し、産業ロボットや自動運転の世界に変革をもたらすことを目指している会社です。

　①人間らしい「眼」、②人間より感度の良い「眼」、③人間には見えないモノを見る「眼」を実現する、人のように重みづけスキャンが可能なスキャナー「MultiPol(マルチポール)」(外観写真参照)と新たな原理に基づいて外界3次元イメージを高速に取得できる「Digital Coherent Lider(デジタルコヒーレントライダー)」により、「人の眼と同じ高度な視覚機能を持つスキャナー、視覚システム」（ワープスキャン説明図参照）を提供いたします。

　このシステムは機械的可動部が無いことから車載機能として高い信頼性を持っています。また、人の眼のように前方を走る車や信号機など重要な対象を高頻度・高密度に計測するフレキシブルなスキャンができ、従来の10倍以上のスピードで必要な情報を持った全体像が得られるようになりました。更に、豪雨や霧などの場合でも200ｍ先の物体の距離を精度よく測定できることから自動運転の実現になくてはならないものと核心しています。

【自社特徴・技術のPR】：
　従来のスキャナーは、画面の端から端まで順番に走査(スキャン)していましたが、当社が開発したMultiPolは、人の眼が見たい場所に視点を次々と移すように、レーザの射出方向を自在に変更できるスキャナーです。このスキャナーによれば、人の眼のように前方を走る車や信号機など重要な対象を高頻度・高密度に計測する一方、関係ない空などは低頻度に計測するというフレキシブルなスキャンができるので、従来の10倍以上のスピードで必要な情報をもった全体像が得られるようになりました。（ワープスキャン説明図参照）また、レーザ光の射出方向を変える仕組みは機械的可動部がないソリッドステート型(個体デバイス)スキャナーであり、車載時の信頼性を格段に高めることができました。

　Digital Coherent Lidarは、距離計測の手法として一般的なToF（Time of Flight）を使わず、光学干渉を利用して長距離の測距を可能にした新しい原理のLidarです。ToFでは射出したパルス光が対象物に反射して戻るまでの時間を計測して距離を算出しますが、雨や霧などの悪条件では反射光の強度が著しく減衰し測定できなくなります。今回の新しい技術では、射出する光の周波数を線形に変化させ、物体から戻ってくる反射光との干渉で生じる「うなり」の周波数を計測します。反射光が装置に届くときには、射出光の周波数が変化しているため、両者の周波数の差の周波数をもつ「うなり」が発生ます。このうなりの周波数は反射までの時間に対応することから、物体までの距離がわかります。

　実際の測定では、1秒間に190×10の12乗(190THz/s)の振動をしているレーザの周波数を線形に変化させるわけですが、そのためには小数点第5位という桁の精密な制御が必要です。また、発信機からのレーザそのものが一定の変動を含んでいるという問題もあります。このような課題に対しては、通信分野でこれまでに蓄積されてきた様々なデジタル信号処理技術を適用することでうなりの周波数を精度よく測定できるようになりました。
デジタル信号処理技術を適用することで、豪雨や霧などで反射光の強度が著しく減衰してしまうような悪条件下でも、シグナルの増強や補正が可能になり、太陽の逆光のもとでも200ｍ以上先の物体の距離を精度よく測定できるDigital Coherent Lidarが実現しました。

COO
千葉　貴史

産業技術総合研究所で開発した最先端かつ信頼性の高い技術で、貴社の課題を解決します。